誤嚥は食事介助で覚えるべき介護用語

対人援助のスペシャリストである介護職は、利用者の日常生活全般を介助するのが主な仕事。もちろん食事の介助もすることになります。ただし介助の相手は、身体の不自由な高齢の利用者がほとんどです。老化により噛む力や飲み込む力が弱っていたり、疾患で寝たきりなど、通常の方法で食事ができないケースが多々あります。したがって食事介助をする際には、様々な知識や技術が介護職に求められます。また、食事介助においては「誤嚥」という介護用語が頻繁に飛び交います。

誤嚥とは、本来は食道へ流れるべき唾液や食物あるいは飲料が、気管に入ってしまうことを指します。その原因としては、老化や疾患によって喉周辺の筋肉の衰えや、脳の嚥下中枢が正常に機能しないことが挙げられます。身体の不自由な高齢者が誤嚥をすると、肺炎や窒息など様々な疾患あるいは事故を引き起こすことがあるため、介護職は慎重に食事の介助をしなければなりません。

特に最も配慮することになるのが、食事の際の姿勢です。各利用者の身体の事情に合わせながら姿勢を調整するだけでも、誤嚥の防止に大いに役立ちます。例えば寝たきりの利用者に対しては、仰臥位や側臥位といった姿勢で食事の介助を行います。ギャッジベッドで仰臥位にする場合、30度から60度くらいに利用者の身体を起こし、同時に足元も15度ほど拳上します。さらに頭部に枕を入れて顎を引くようにし、飲み込みやすい姿勢を作ります。側臥位ではこれに加え、背中や足元などに枕あるいは毛布等を置いてクッションにして、安楽な姿勢が保てるようにします。もし片麻痺のある利用者ならば、健側を下にした側臥位が基本です。

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